記憶の中の写真 72

世田谷線の通る街 (2024/04/11)

Nikon D300 18-200mm

東急世田谷線は、三軒茶屋と下高井戸を結ぶ総延長距離5km、世田谷区内だけを走る路線である。

 

全線を通して世田谷区から出る事がない。まさに世田谷線という名に相応しいと言える。

 

その一方のターミナル駅三軒茶屋駅は三軒茶屋のランドマークといえるキャロットタワーの一階部分にある。

 

キャロットタワー26階の無料展望スペースからは、三軒茶屋駅を出た世田谷線の電車が隣の西太子堂駅を通って、少し左にカーブしながら次の若林駅に向かって建物の影に消えていくところが見える。

 

僕が始めて三軒茶屋を訪れたのは1983年か84年、今から40年ほど前、サンディエゴで知り合った友人宅を仲間と訪れて、泊まらせてもらったときだった。

 

駅からほど近いところに広い敷地と大きな建屋の立派な家があることに、東京の友人たちは驚いていた。

 

その後、その友人の家は駅前の再開発で立ち退くことになり、新たに神泉にマンションを買って引っ越した。

 

もう昔のことで、友人の家がどこであったのか、記憶を辿っても定かではないのだが、現在のキャロットタワーがあるところだったと思う。

 

1996年に竣工したキャロットタワーの展望スペースから、そんな事をぼんやり思い返しながら穏やかな花曇の街をゆっくりと走り抜けていく世田谷線を見ていると、時間と空間の境界線が曖昧に記憶の中に溶け込んでいく感覚を覚えた。