記憶の中の写真 71

虚像と実像(2024/04/26)

Nikon D300 18-200mm

Nikon D300 18-200mm

Nikon D300 18-200mm

Nikon D300 18-200mm

かつて、横浜と奈良に「ドリームランド」というアミューズメントパークがあった。

 

時代が進むとどの業界であっても寡占化が進む様に、アミューズメントパークも同様に近年寡占化が進んだ。

 

近畿でいうと「宝塚ファミリーランド」、「甲子園阪神パーク」、「南海みさき公園」、「近鉄あやめ池遊園地」、「さやま遊園」、「エキスポランド」、「神戸ポートピアランド」等などがあったのだが、USJの寡占化が進み閉園してしまった。

 

小学校に上がって間もないころ、僕は両親に連れられ今は無い「奈良ドリームランド」に家族で出かけた。

 

数あるアトラクションの一つ、ガラスと鏡の迷路に、母親を残し父親と姉と三人で入ることにした。

 

面白くて、夢中で歩き回っているうちに、いつしか僕は父親、姉とはぐれて迷ってしまった。

 

不安で、家族を探し回るのだが、ガラスと鏡の世界は実像と虚像が入り乱れる空間で、まるで万華鏡か三面鏡の世界に迷い込んだ様で、おいそれと方向を見出せない。

 

不安で探し回っている僕の視線の先に父親を見つけた途端、安心と嬉しさで父親に向かって僕は走り出した。

 

その途端、ゴーンという大きな音とともに目から火花が散って、勢いよくおでこをガラスの壁にぶつけて僕は仰向けにひっくり返った。

 

周りの人たちが驚いて心配そうに覗き込んで声をかけてくれるのだが、打ったおでこのあまりの痛さと恥ずかしいさで、泣きながらおでこと頬から火を吹く思いをした事を覚えている。

 

 

渋谷の街は、東京の他の街と同様ガラスと鏡の迷路の街である。

 

実像と虚像がないまぜになって、何が本当の姿なのか、何が映し出されたものなのかが判別しにくい。

 

東京では実像と虚像に惑わされ、自分の目指す方向を見つけ出すことは難しいのかもしれない。