記憶の中の写真 57

ヤンゴンの街角3  (2017/9/20)

Sony α7m2 FE28-70mm

Sony α7m2 FE28-70mm

Sony α7m2 FE28-70mm

Sony α7m2 FE28-70mm

海外に旅行で行った時の楽しみの一つが食事といえる。

 

その地方の食事が口に合わないと、滞在期間の楽しみが減るだけではなく、長く滞在する場合には苦痛にさえなる。

 

また、衛生観念が高くないエリアに出向くと結構な確率でお腹を壊すことになる。

 

個人的な好みでいうと、ベトナムは美味しかったし、タイも比較的口に合った。

 

どちらかというと、ミャンマーはあまり口に合わなかった。

 

タイの魚醤ナンプラーの癖があまり好みではなかっただけに、ミャンマーの魚醤(ンガピャーイェー)は一層その癖を強くしたもののように感じられ、口に合わなかったように思う。

 

また、これは東南アジアに共通することかもしれないが、川の魚がよく出てくるのだが、川の魚に感じる泥臭さが苦手で、これも口に合わないと感じた要因だろうと思う。

 

結局、かつてミャンマーに長く滞在していた時は、カレーと中華料理ばかり食べていた気がする。

 

誰かが、「かつてベトナムはフランスの植民地になっていて、ミャンマービルマ)はイギリスの植民地になっていたのが、料理の味に影響してるんじゃないか」と言っていた気がする。

 

そういわれると、その影響もあるのだろうと思う。知らんけど。

 

世田谷線 SG09

松原駅

Nikon D300 28-300mm

Nikon D300 28-300mm

松原駅は東急世田谷線の駅の中では一番新しい駅である。

 

1949年、下高井戸駅山下駅の間にあった六所神社前駅と七軒町駅の2つの駅を廃し、その間に新しく設置された駅である。

 

そのためもあってか、松原駅は隣の下高井戸駅山下駅との距離がそれぞれ800mと離れており、平均駅間隔が550mの世田谷線では一番駅間隔が離れている駅となっている。

 

しかしながら松原駅は1日の乗降客数3,000人以下となっており、全部で10ある世田谷線の駅の中で下から2番目、西太子堂駅に次いで乗降客数が少ない駅である。

 

六所神社前駅と七軒町駅の2つの駅を統合したのは、この乗降客数の少なさからだったのだろうと思われる。

 

駅周辺には大型スーパーや商店があり、人も多くにぎわっているのだが、利用客が少ないのは下高井戸駅山下駅に挟まれているからだろう。

 

この辺りの住人は都内に出るときは京王線の下高井戸駅、もしくは小田急線の豪徳寺駅から新宿に出るのだろうと想像できる。

 

そうすると、京王線高井戸駅小田急豪徳寺駅松原駅の中間辺りに住んでいる人は1駅だけのためにわざわざ松原駅まで歩いてきて、世田谷線を利用して京王線小田急線の駅まで行くとは考えられない。

 

なんとなれば駅までの距離が800mというのは、徒歩で通勤する距離として特段長い距離ではないので松原駅前に住んでいる人にとっても、この駅を利用する価値はないのかもしれない。

 

この駅に他所から来る特別な用事も考えられないし、この駅から三軒茶屋まで乗って、東急田園都市線で渋谷に出る人もあまり多くはないのだろう。

 

統合する前の2つの駅名がどちらも個性的で印象が強かったのに、どうして統合した駅名がこんなにも平凡で個性がないのだろう。

 

世田谷線 SG08

山下駅

Nikon D300 28-300mm

Nikon D300 28-300mm

世田谷線山下駅は、小田急豪徳寺駅との乗換駅である。

 

最初、この駅のことを知ったときは、何故「世田谷線豪徳寺駅」とせずに山下駅としたのか、そのことが不思議だった。

 

どう考えてもここが初めてで乗り換えを考えている利用者には不親切に思えたからだった。

 

しかしながら、色々と歴史的な流れなどが分かってくると「豪徳寺駅」としなかった理由が見えてくるようだ。

 

1925年に世田谷線は開業し、その当時、上町駅と山下駅の間は、上町駅~豪徳寺前駅~宮ノ坂駅~山下駅という並びで駅が作られていた。

 

この豪徳寺前駅はその名の通り豪徳寺の最寄りの駅だった。

 

一方、その2年後の1927年には小田急線が新たに開業し、世田谷線山下駅と交差するところに設置した駅を豪徳寺駅とした。

 

小田急線で豪徳寺に一番近い駅はこの駅になるので、小田急線がこの駅を豪徳寺駅という名前にするのは理にかなっていた。

 

この時点で、既に問題は起こっていた。駅名から判断して世田谷線豪徳寺前駅が接続駅だろうと判断して降りてしまうと、一駅歩かないと小田急豪徳寺駅に乗り換えができないのである。

 

とはいっても、後から出来た小田急線の豪徳寺駅に合わせて山下駅を「豪徳寺駅」に改称すると、世田谷線小田急線乗り換えの「豪徳寺駅」と豪徳寺最寄りの豪徳寺前駅ができてしまうことになる。

 

そして1945年、世田谷線は近すぎる駅などの統廃合を行い、当時の豪徳寺前駅と宮ノ坂駅を統合する形で、2つの駅の間に新たに駅を作ることになった。

 

駅名をどうするか?ここでこの問題に決着をつける必要に迫られた。

 

前述のとおり、新駅を「豪徳寺駅」とすると世田谷線の利用者が乗り換えに間違った駅で降りて一駅歩く羽目になるかもしれないし、山下駅を「豪徳寺駅」とすると豪徳寺に出向く利用客が間違った駅に降りることになるかもしれない。

 

隣り合う2つの駅を「豪徳寺駅」と「豪徳寺前駅」とすると一層混乱をきたしそうである。

 

結局、どのようにしても混乱を招くだけなので、豪徳寺という名称を使うことをあきらめ、宮の坂駅という名称の新駅にしたというのが、勝手な想像なのである。

 

この豪徳寺であるが、彦根藩主・井伊家の江戸における菩提寺であり、招き猫で有名な寺である。

 

ここに幕末の諸策に反対する尊王攘夷や一橋派の大名・公卿・志士(活動家)らを弾圧した、いわゆる「安政の大獄」を指示し、実行した井伊直弼の墓がこの寺にあり、遺体が埋葬されている(真偽のほどは不明)。

 

一方、井伊直弼の行った安政の大獄によって斬殺された吉田松陰は、世田谷線松陰神社前駅の傍の松陰神社に埋葬されている。

 

松陰神社前駅から駅間にして宮の坂駅まで3駅1.3km、山下駅まで4駅2kmの距離である。

 

ところが、世田谷線は上町駅で下高井戸方向が北へ、三軒茶屋方向が東へと90度折れ曲がりL字型をしているので、豪徳寺松陰神社の間は直線で700mの距離しか離れていない。

 

井伊直弼の「安政の大獄」によって斬殺された吉田松陰、そしてその「安政の大獄」の翌年、弾圧を恨んでいた元水戸藩士を中心とする浪士たちによって行われた「桜田門外の変」で殺害された井伊直弼、この2人が今は世田谷線沿線の700m離れたところで眠っているのである。

 

記憶の中の写真 56

11月の夏日  (2023/11/03)

Nikon D300 18-55mm

Nikon D300 18-55mm

Nikon D300 18-55mm

Nikon D300 18-55mm

Nikon D300 18-55mm

 

2023年の11月。記録的な暑さで、14年ぶりの夏日になった。

 

僕が子供の頃、25℃を超える夏日は文字通り夏そのもので、30℃を超える真夏日は7月、8月の特別暑い何日かに限られていた。

 

ここ何年かは夏は30℃を超えるのが普通で、暑い日が35℃を超える猛暑日となっても驚かなくなってきている。

 

今後、この傾向は一層進んでいき、僕たちの生活も気が付けばこの変化で大きく変わっていくのかもしれない。

 

自然が目に触れることがない渋谷の街は、空の雲と街を行く人たちの服装とショーウィンドウを飾るデコレーションが季節を教えてくれる。

 

この日も、渋谷の駅からセンター街(どうやらバスケットストリートという名前の定着はあきらめたようだ)、そして公園通りと歩いた。

 

青空には雲一つなく、街ゆく人は半袖だったり、上着を手に持って歩いていたりする。

 

ハロウィンのディスプレーが消えたショーウィンドウも、11月の季節を感じさせるものも少なく、渋谷の街はまるで夏の終わりの9月の雰囲気を漂わせていた。

記憶の中の写真 55

写真と文章

 

 

 

 

かつては、文章と写真の両方が載っている写真集が好きだった。

 

写真作家の行った先々の自分にとって未知の世界、感じた世界などが写真だけではなく、文章からも伝わってきて、より鮮明に疑似体験できたからだと思う。

 

文章が主役で写真が補足する写真集であっても、写真を文章で解説する写真が主役の写真集であっても、どちらでも良かったし、好んで見ていたと思う。

 

写真一枚一枚に付けられたタイトル/題名でも、それを見ることによって写真の解釈の仕方を示唆してもらえるので、理解の手助けになっていた。

 

ところが、最近ある写真展を見に行って、写真に付けられた題名と文章が煩わしく感じた。

 

特段不適切な題名が付けらている訳でもないし、無意味な題名が付けられている訳でもないのに、題名と説明文を邪魔に感じたのである。

 

鑑賞者は写真と向き合って、その写真からいろいろなことを感じながらイメージを膨らませ、思考や想像を巡らせ浮遊させているのだが、その浮遊状態から題名や解説文よって一気に着地点に叩きつけられる感覚になった。

 

確かに、題名を見るたびに、「ああそういう写真なんだ」、「そういうところで、そういう意味で撮ったんだ」との理解は進む。

 

写真を”正しく”理解するのにはコンテクストが必要であり、そのために文章が必要になることは分るのだが、写真そのものと対峙し、そこから見えてくるものを見ようとしている時に、解答を見せられた気分になった。

 

そして、その解答が「あれっ?」、「そうなの?」、「それを伝えたかったの?」と思ったときに、題名で解答を見せるやり方と解答の内容そのものに違和感を感じたのである。

 

そして、自分の描いたイメージと異なった解釈、思っていた作品とは違った解釈の写真だったという残念な印象を抱いたのである。

 

自分なりに解釈したというより、作者の意図に沿って解釈させられたという気持ち。

 

勿論、自己満足のだれの目にも触れないチラシの裏と同程度のブログ写真には当てはめるつもりもないのだが、写真作家の作品としての写真に抱いた感情である。

 

作家の作品と向き合うときに、作者から切り離されたはずの作品そのものが示唆する世界、与えるインパクト、引き起こす感情に、作家の思いや解釈が言葉となって介入してくることが煩わしく感じてしまったのかもしれない。

 

とはいえ、今後も好きな写真集の文章は一所懸命目を通すのだと思う。

 

かつては三軒茶屋に4件あった映画館も、この三軒茶屋シネマの閉館を最後に三軒茶屋から全ての映画館が消えた。(2011年12月25日)

三軒茶屋シネマは1954年に三軒茶屋東映として開館する。1997年に三軒茶屋シネマと改称して営業を続けるが、2014年7月20日、建物の老朽化もあり閉館となる。(2011年12月25日)

最後まで営業を続けてきたもう一軒の映画館が、三軒茶屋中央劇場である。こちらも2013年2月14日をもって閉館をする。(2011年12月25日)

 

1952年に開業した三軒茶屋中央劇場は近年ミニシアター系の作品を中心に週変わりの2本立てで上映していた。(2011年12月25日)

記憶の中の写真 54

夏の残り  (2023/09/27)

 

Nikon D700 35-70mm f2.8

 

Nikon D700 35-70mm f2.8

 

Nikon D700 35-70mm f2.8

 

Nikon D700 35-70mm f2.8

 

Nikon D700 35-70mm f2.8

 

毎年、初夏から夏にかけて、湘南の海に出かける。

 

小田急片瀬江ノ島駅から江ノ電江の島駅まで歩く。そのついでに片瀬江ノ島東浜、または西浜に足を延ばす。

 

江ノ電江ノ島駅から、鎌倉高校前駅まで江ノ電で行き、少し歩いて七里ヶ浜駅から江ノ電に乗る。そして、長谷駅で降りて由比ヶ浜まで歩いて、また由比ヶ浜駅から江ノ電に乗り鎌倉駅まで行く。そしてJRで帰宅する。

 

疲れた時は、どれかを省くが、これが僕のお決まりのコースとなっていた。

 

今年は、初めて秋に湘南を訪れた。

 

この日も、15時には気温30℃に達するようで、真夏日になるということだった。

 

砂浜へ出る階段を上がって海岸を見渡すと、目の前には見慣れた風景とは驚くほど違った景色が広がっていた。

 

真夏に比べると南に傾いた正午の太陽が、人もまばらな9月の砂浜を容赦なく照らしていた。

 

照りつける日差しに汗を流しながら、僕は夏の去った海辺の風景に見入っていた。

 

それでもそこここに散らばる夏のカケラを探しては、カメラに拾い集めた。

記憶の中の写真 53

レフレクション/反射 (2023/09/24)

 

Olympus E-PL5 14-42 f3.5-5.6

 

Olympus E-PL5 14-42 f3.5-5.6

 

Olympus E-PL5 14-42 f3.5-5.6

 

Olympus E-PL5 14-42 f3.5-5.6

 

渋谷の街はいつもキラキラしている。

 

若者たちで溢れているし、近頃は海外からの観光客で活気に満ちているからだと思う。

 

渋谷に集まってくる人達の興味や好奇心、活気がエネルギーとして発散され、それが街中に交錯し乱反射してキラキラしているように感じる。

 

また、夜には文字通りビルの明かりや車や街灯のライト、ビルに掲げられたイルミネーションや各種デジタルサイネージ、昼にはビルやショーウィンドウのガラスや街を彩るミラーが太陽光を反射して、光が街中で乱反射している。

 

渋谷では、いたるところでレフレクションによって実像と虚像がないまぜになり、虚実の判別に戸惑う。

 

渋谷は虚と実が渾然一体とした街として目に映る。

 

だからこそ、渋谷を歩けばそこら中のガラスやミラーに映った虚像と実像が入り乱れ、スナップ写真が面白い。