サンディエゴ港を出る軍艇 (2017/8/15)
L.Aから車で南に2時間ほど走ったところにあるメキシコとの国境に近い町、サンディエゴ。
アメリカ太平洋艦隊の母港があり、カリフォルニア州第2の人口を抱える海軍の港町である。
そのサンディエゴ湾を太平洋からの波風を防ぐように北から南に突き出した半島がポイントローマである。
西には太平洋、東には細い海峡を挟んで太平洋艦隊のサンディエゴ港や英国王位を揺るがしたウィンザー公とシンプソン夫人のスキャンダルの舞台となったホテル・デル・コロナドのあるコロナドアイランドがある。
ここポイントローマには、これまでの幾多の戦争などで合衆国のために命を落とした軍人や軍関係者が埋葬されているフォート・ローズクランズ国立墓地がある。
2017年8月15日、日本では終戦記念日、ここ米国では戦勝記念日にあたる日に、僕は35年ぶりにポイントローマを訪れた。
12年ほど前に一度サンディエゴには立ち寄ってはいたが、L.A.からメキシコのティファナへの移動の途中に30分ほどダウンタウンに立ち寄っただけだったので、本当に久しぶりの訪問だった。
この年の1月20日、オバマ大統領に代わって、トランプ氏が大統領に就任していた。この時、選挙運動期間中の公約、就任後の演説もあって、合衆国は国の内外に対立・分断を拡大させはじめていた。
この日は珍しく夕方から天候が崩れ、サンディエゴは厚い雲に覆われはじめていた。カメラが小雨に濡れないように庇いながら写真を撮っていると、西の空に雲の切れ目ができて、夕日が太平洋の一画を照らし出した。
丁度そこへ、サンディエゴ港を出港し太平洋の海原を西へと舵を取る一艘の軍の艦艇がその一画に差し掛かり、西日に映し出された。
陰鬱な天候の中、多くの軍関係者の墓地を背後に、その先を大海原に乗り出していく軍艦へまるでスポットライトが当てられているかのような映像は、この国の戦いの歴史と将来を暗示しているかのように見えた。