記憶の中の写真 1

往き道、帰り道。春の宵。(2005/04/09)

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CASIO QV-R51 (1/8 f/2.8)



13年ほど住んでいた京都に、5年ぶりに戻ってきた。

京都に戻って以来、僕はコンパクトデジタルカメラを手に市内をうろついていた。


ありきたりだけれど、四条河原町から祇園の八坂神社、高台寺ねねの道から二年坂産寧坂を通って清水寺までのコースが、いちばんのお気に入りだった。

途中の木屋町通り、先斗町四条大橋そして今では撮影禁止区域が設定された花見小路周辺では、よく足を止めて写真を撮った。

桜も終わり、春が一層艶く4月9日の夕刻、観光客で賑わう祇園花見小路から、ほんの一瞬人影が途絶えた初音小路のその奥へと、ひと組の男女が向かっていた。

 

二人は、これからお店に向かう女将さんと、仕事終わりにお店に立ち寄る旦那さんだろうか。

二人の姿を目で追いながら、シャッターを切った。

二人の姿が路地の奥へと消えると、路地には観光客の喧噪が戻っていた。

そして、やがて花見小路の街路灯と店の灯りが一層輝きを増し、とっぷりと春の夜の帳が京の小路を覆っていった。