記憶の中の写真 24

蝉時雨 (2021/7/21)

 

Olympus E-PL5 14-42 f3.5-5.6
 
久しぶりに蝉時雨の中を、汗を流しながら歩いた気がする。
昨年一年は、新型コロナのせいで外を出歩くことを躊躇っていたからだろう。

都内に越してきてからは、蝉時雨はミンミンゼミの鳴き声になった。それは、西日本育ちの僕にとっては、ドラマや映画の中での夏のシーンを呼び起こすもので、僕にとっての夏の思い出はクマゼミの泣く声になる。

「夏の友」を前に扇風機に当たりながら嫌々宿題をやっていた思いや、虫取り網と籠を持ってセミ取りに森や林を駆け巡ったり、魚取り網とバケツを手に田んぼの畦道を走り回った記憶が蘇る。

駒沢公園も緊急事態宣言で人出は少なかった。

いくつかの家族で遊びにきていたグループの1人の女の子が、走り回っていたのに突然立ち止まって木々の上に目をやった。

まだまだ暑く、汗も噴き出す午後3時45分。

頭の上には真っ青な空と白い雲、樹々のざわめきと蝉時雨。

きっとこの娘の夏の思い出として、蝉時雨を聴くと蘇る1日になるんだろうな、と思った。