山ノ内駅 (やまのうち)
阪神本線、大阪梅田から神戸三宮に向かって進んでいくと神戸三宮駅の一つ手前に春日野道駅がある。
かつてこの春日野道駅はホームの幅が日本で一番狭いことで関西では知らない人がいないほど有名だった。
春日野道駅はホームの幅が2.6mしかなく、その上島式ホームで、両側を阪神本線の特急電車などがそこそこのスピードで通過するので、スリルというより、恐怖を感じ手すりにしがみついていたことを憶えている。
春日野道駅も2004年に線路の外側を開削し、対面式の駅となり、今では十分なホーム幅を持った駅と生まれ変わっていた。
嵐電嵐山本線にある山ノ内駅は、専用軌道と道路との併用軌道の違いはあるものの、春日野道どころではないホーム幅なんと60cmの駅である。
通りを歩いていて、電車が入ってくるところを見ていなければ、駅と認識することさえ難しいかもしれない。
山ノ内駅という駅名だが、駅は山の中ではなく街中にある。
かつて、ここ一帯が比叡山延暦寺の飛地の寺領であり、山門内に当たるところから山ノ内という地名となったらしい。
この駅のホームは三条通の真ん中にあり、信号が青になればまあまあのスピードでバスやタクシーや乗用車が体のすぐ両脇を通り過ぎていく。
電車が入ってくる時には、ぼーっと立っていると、あまりのホームの狭さに、車体と体が接触しそうになる。
電車が入ってくるとホーム両端の車の信号は赤になるので、そこで歩道からホームに渡って、電車に乗ることがルールとなっているらしいのだが、実際はホーム上で待っている人も結構多い。
そうすると、安全のために電車は超低速で入ってくるのだが、それでもホームに立っていると結構な圧力を感じる。
ホームの高さに比べ、電車の床の高さはかなり高く、乗り込むときに脚力を必要とするので、車椅子の方は勿論、脚の悪いご老人や障害のある方はこの駅の利用は避けた方がよいだろう。
現在の人の目にはかなり特異な構造の駅に映るが、かつて市内を路面電車が走りまわっていたころは、ホームの幅はもっと広かったとしても、このような駅が京都市内にもいくらでもあった。
この駅に興味を持って降りてみても、ここには細い2本のプラットホームしかないので、次の電車までのたったの10分間も手持ち無沙汰に感じるだろう。