記憶の中の写真 83

スクランブル交差点の"勝利のキッス" (2004/10/4)

 

Olympus E-PL5 12-32mm

 

『ライフ』1945年8月27日号に全面掲載で一枚の写真が紹介され話題となった。

 

それが写真家アルフレッド・アイゼンスタットによって撮られた『勝利のキス』と題された写真であった。

 

後に「20世紀のアメリカを語る一枚」といわれるようになった第二次世界大戦終結を表すアメリカにとって代表的な写真の一枚となった。

 

戦場から帰還した従軍兵と彼を待っていた恋人とのキッスだと思われる瞬間の写真である。

 

ところが、実のところたまたまそこに居合わせた見ず知らずの二人があまりの嬉しさにキッスをした写真だということが分かって、それを知った時には少しばかり思ってたのと違っていて、「なんだかな」と少し引いたように思う。

 

この時、アメリカ海軍報道班員であるヴィクター・ヨルゲンセンも同じ現場で、ほぼ同じ時に、ほぼ同じ角度から写真を撮っており、こちらは『Kissing the War Goodbye』と題されてニューヨーク・タイムズに掲載された。

 

このヴィクター・ヨルゲンセンの撮った『Kissing the War Goodbye』はパブリックドメインにされており、色々なところで掲載、紹介されている。

 

『勝利のキス』と『Kissing the War Goodbye』の2枚の写真は一見同じ写真に見えるが、よく見ると若干写真を撮るカメラの位置が異なることと、シャッターを押した瞬間が異なるので後ろに写った人たちが異なることが分かる。

 

この写真は数々のアーティストに影響を与え、多くのパロディ作品を生み出しているらしい。

 

太平洋艦隊の母港であるサンディエゴにもこの写真の二人をモチーフにした巨大な像が建てられている。

 

1982年、サンディエゴで学生生活をしている時にはなかったから、その後建てられたのだろう。

 

2017年、サンディエゴを訪れた時には、この像を探し当てて記念写真を撮ったことを憶えている。

 

2024年、渋谷スクランブル交差点の写真である。

 

当の2人はどこまで『勝利のキス』を意識していたのかは分からないが、シャッターを押す瞬間、僕の頭の中は『勝利のキス』の写真映像が蘇っていた。

 

『Kissing the War Goodbye』by ヴィクター・ヨルゲンセン

 

 Sony α7m2 at San Diego, 2017/8/18